燃料切れで墜落することもある

フライ・ドバイ機は、着陸をやり直したあと、再び着陸を試みるまでの間に、上空で1時間以上待機を続けていたとみられ、当時の燃料の状況などが調査のポイントになるとみられます。

燃料切れを疑われているようです。そんなことがあるのかというとあるのだ。

アビアンカ航空52便墜落事故とは、米国東部標準時 (EST) 1990年1月25日午後9時34分ごろ、アビアンカ航空ボーイング707型機(旅客機)が燃料切れを起こし墜落した航空事故のことである。

NTSB の事故報告書では、この事故の主たる原因はフライトクルー(運航乗務員)の残燃料量の管理に落ち度があったこと、および管制塔に対して自機が緊急事態であることを正しく伝えるためのコミュニケーション能力に問題があったこと等を挙げた。

アビアンカ航空52便墜落事故 - Wikipedia

 つまり「自分の機が燃料不足で、緊急事態」ということを、上手く管制塔に伝えられなかったのが原因の一つとしてあげられている。

今回はアラブ首長国連邦の航空機がロシア管制区内で墜落したということで、アビアンカ航空事故との類似点があるように思える。

つまり想像できる今回のシナリオはこうだ。

長距離飛行してきたフライ・ドバイの旅客機。到着地のロシアの天候は荒れ模様。燃料が少なくなっているので、多少天候が悪くても早く着陸する必要がある。

疲れているクルーにとっては、着陸という「操縦と心理的圧力」が増える場面はストレスが高まる。

何度か着陸を試みるが、失敗。そうこうしているうちに空港周辺の天候がますます悪化。着陸が難しくなり、上空待機に入った。当然のごとく刻一刻と燃料が減少してくる。クルーの焦りは募るばかりだ。

ここで旅客機と管制官との間で意思の齟齬が発生する。

旅客機側は緊急事態のつもりで交信しているが、管制官にはそのことが伝わっていない。本来であれば航空無線のデフォルトの交信言語は英語である。しかし緊急事態にはそれぞれの母国語の使用が例外的に許されている。

しかし到着地はロシア語であり、旅客機側はアラビア語だ。当然そのままではコミュニュケーションを取ることができない。

旅客機のクルーは「アラビア語」で緊急事態を伝えるたため、あるいはうまく英語で状況を説明できなかったため、ロシア側の管制官には緊急性が理解できなかった。

とうとう旅客機の燃料があと少しで切れるというところに来て、機長は緊急着陸を決行する。

大気の乱れがひどく、エンジンの調整が難しい。突然上部から押し付けられるように機体に気流があたる。このままでは墜落してしまう。機長はスロットルを操作し、エンジンの出力を上げるが、そのために燃料を急速に消費。空港を目の前にして燃料不足のためエンジンが停止した。燃料切れである。

それでも晴天で風も穏やかであれば、滑空してなだらかに不時着することも可能であったが、生憎の悪天候で機体は叩きつけられるように地面に激突した……

そんなところと予想される。