「Windowsオーディオエンジンで音質劣化」検証関連記事を追う(その4)
2016年に入ってもWindowsの音周り問題は解決しなかった。
「Windowsは音が悪い」、これは標準のドライバを使って再生する限りはどうしようもない問題で、これまでも何度も検証してきたとおりであり、Windows 10になっても改善されていない。もちろんASIOやWASAPI排他モードを使うことで、そうした問題を避けることは可能ではあるが、標準ドライバを使わざるを得ないiTunesやWindows Media Player、またWindows 10のGrooveミュージックやWindows 8/8.1のミュージックにおいては、どうしても音が劣化してしまう。
【藤本健のDigital Audio Laboratory】第674回:Windowsの音質問題を無料ツールで回避。ピークリミッター解除の効果を試す - AV Watch
藤本氏はこれまでの検証のまとめとも思える「Windowsの音質劣化の原因」を次のようにあげた。
1.サンプリングレート自動変換による劣化
2.低品質ディザーによる劣化
3.ピークリミッターによる音質劣化
とくに3のピークリミッター関連は問題が大きいらしく、あの手この手で解決しようと試みられてきた。
しかし根本的な解決には至らなかった。
ところが8月31日の評価版において大きな動きが。
でも、いよいよWindowsも対応することになるようだ。8月31日にリリースされたWindows Insider Previewで、USB Audio Class 2.0対応のドライバが搭載されたので、実際に使えるのか検証してみた。
【藤本健のDigital Audio Laboratory】Windows 10がついに「USB Audio Class 2.0」対応へ? ドライバ無しでハイレゾ再生 - AV Watch
- USB Audio Class 2.0
USB Audio Class 2.0について、ここで改めて説明しておこう。USBデバイスには、USBクラスコンプライアントと呼ばれる機器がある。つまり、USB標準の規格に則った仕様で、接続すればドライバなど不要ですぐに使えるものを意味する機器だ。USBオーディオ機器の場合、そのUSBクラスが2種類存在している。USB Audio Class 1.0とUSB Audio Class 2.0というものであり、前者はUSB 1.1を使った接続をする仕様であるため、再生時には最高で96kHz/24bitのステレオまで対応するものとなっていた。それに対し、後者のUSB Audio Class 2.0はUSB 2.0での接続となるため、192kHz/24bitでの再生や、ハイレゾでのマルチチャンネル再生も可能にするのだ。
で、Windowsで「USB Audio Class 2.0」が使えないというのは何を意味するのかというと……
そして最近のUSB DACやUSBオーディオインターフェイスで、USBクラスコンプライアントな製品のほとんどはUSB Audio Class 2.0対応となっている。Mac OS XやiOS、さらにはAndroidでもこのUSB Audio Class 2.0に標準で対応しているため、これらのデバイスを接続すればすぐに使える。それに対しWindowsだけはUSB Audio Class 1.0対応止まりとなっていて、USB Audio Class 2.0対応のデバイスをUSB接続しても認識されない状態であり、時代遅れな仕様だった。そのため、各デバイスメーカーともWindows用にドライバを開発し、添付しなければいけなかった。もしWindowsが標準でUSB Audio Class 2.0対応となれば、状況は大きく変わる可能性があるわけだ。
サウンドに関してはかなり時代遅れなわけである。
このあと藤本氏は様々なデバイスを駆使して、WindowsのUSB Audio Class 2.0対応状況を調べた。
結論としては「不完全ではあるがWindowsがUSB Audio Class 2.0した」というものになった。
残るはGrooveミュージックやWindows Media PlayerのWASAPI対応である。