ある労災から見た、ヒューマンエラー、

作業者(技能実習生、入社後約1か月)が金型右側を用い厚さ1.2mmの鋼板を菱形に加工するため金型に投入及び取り出す作業並びに当該プレス機械の起動操作、被災者(技能実習生、入社後約10か月)が金型左側を用い厚さ1.5mmの鋼板を台形に加工するため金型への投入及び取り出す作業、といった同一のプレス機械を用いて、2名で作業を行っていた。作業者が加工のため当該プレス機械に背を向け両手操作式の起動スイッチを押し、振返ったところ、被災者が金型左側に頭部を挟まれていたもの。

鋼板を切断する金型が取り付けられていたダブルクランクプレスに挟まれた:労働災害事例

 これの興味深い点は事故の分析である。

当該プレス機械稼働(切断)時に当該プレス機械正面の作業台上に作業員がいないことを確認して作業するといった、労働者の注意に頼る形での安全対策であり、本質的な安全が確保されていないものであったこと。

 つまるところ「人間は間違うもの」という前提で安全措置を取らねばならないということである。

対策として以下の点を挙げている。

機械、器具その他の設備による労働者の危険を防止するための措置は、労働者の注意等に依ることのない、本質的な安全が確保されるものとするため、機械及び作業手順についてリスクアセスメントを行うこと。

「作業者が注意することによって事故を防ぐ」ことしか考えていない経営者がいたら、学習能力がなく頭がおかしいのである。