車同士の衝突人身事故、刑罰は?

同僚が交通事故を起こしたらしい。

らしい、というのは伝聞だから。

聞くところによると「車同士で衝突事故、自分(同僚)は救急車で運ばれるも、けがはなかった模様」との状況。

事故の状況の具体的な内容は分からないながら「同僚のほうが悪い」らしい。

ところが本人はそこら辺を知ってか知らずになんと1日休んだだけで出社してきた。

個人的にはいろんな意味で(おいおい大丈夫かよ…… )と思ってしまった。

ここでふと考えたのは「このような状況の刑事罰の有無」である。

危険な運転をした場合などは刑事罰があることは知っているが、このような車同士の事故の場合はどうなっているのだろうか? もし刑事罰があるということになれば「前科」となってしまう。

専門家ではないことを断りつつ、自分なりに理解した点をまとめる。

設定としては「車同士の事故」「自分がある程度悪い」「相手は入院しない軽症」(以下「本件」という)。

車やオートバイ、原付を運転していて人を轢いてしまったり、車両同士の事故で相手が怪我を負わせてしまった際には、犯罪となって前科が付いてしまうのでしょうか。人身事故で該当しうる罪は、過失運転致死傷罪と危険運転致死傷罪です。過失運転致死傷罪とは、不注意によって起こしてしまった交通事故により、相手が怪我、または死亡した際に成立する犯罪です。

交通事故で犯罪となり逮捕されるケースと刑罰 - 弁護士ドットコム

となると本件は「過失運転致死傷罪」となる。

じゃあ何でもかんでも「自動車関連の交通人身事故(物損ではない)は過失運転致死傷罪に問われるか?」というとそうではない。

考えてもみたらすぐにわかる。交通事故というのは毎日日常茶飯事のように発生している。それを一つ一つ慎重に捜査して、毎回起訴していたのでは警察も検察もパンクしてしまう。

なので、実務上では以下のような扱いのようである。

過失運転致死傷罪として有罪となった場合には、およそ91%が罰金刑となっており、懲役刑はおよそ9%にとどまります。罰金の金額相場は、10万円から50万円までバラけており、被害者の怪我や過失の程度によって決まります。また、罰金刑でも略式手続きという、書類審査のみで判決を出す裁判方式が取られることがほとんどで、身柄を拘束されずに手続きが進むケースが多いでしょう。

 事故の手続き上、検察に身柄なり書類が送致される件数は多くなりますが、その中で起訴されるのは9%程度となっています。このように、過失運転致死傷罪では、被害が甚大であったり、余程の過失がない限り厳しい刑罰が科されていないのが実情です。

よっぽど悪質でない限り「過失運転致死傷罪」として懲役刑は課されない模様。ただし本件に加えて「信号無視」や「スピード違反」などの「道路交通法上の違反」が加わればその限りではない。

懲役刑は回避できても「罰金刑」になることがある。が、刑罰に至らないようにすることはできる。

過失運転致死傷罪の法定刑は7年以下の懲役若しくは禁錮又は100万円以下の罰金とされており、かなり幅がありますが、同罪の事案における刑事処分決定の際の考慮要素としては、(1)被害者の傷害の程度、(2)被害弁償の有無、(3)被害者の処罰感情、が極めて重要となってきます(従って、示談は不可欠です。)

過失運転致死傷罪〜新銀座法律事務所

よって、検察に送致されたとしても、被害者の障害の程度が軽微であり、被害弁済が十分に行われており、被害者が処罰感情を持っていない、場合は刑事処罰がなされない可能性が高い。

だから、本件の場合一刻も早く弁護士に相談し必要であれば示談を開始すべきである。

さらに言うと「過失運転致死傷罪」は「道路交通法違反」のような「反則金」制度がないので、ある意味一発で裁判行き(つまり前科がつく)ので注意が必要である。

なので、のこのこと仕事に来ている場合ではないのである。