彼女のちょっと得意げな顔を見逃さなかった

いや、彼女と言っても単なる知人としての彼女ね。よその人の奥さまですし。

彼女のお父さんは元陸自隊員。で、ちょっと興味があったので……

「へえ、最終階級はどのくらいだったの?」と質問してみた。

まぁ、階級とか知らないことも多いからまともな返事は期待していなかった。単にちょっとした話題の一つぐらいの気持ちで聞いたんだけど。

彼女「二佐」と即答。

わたし「防大卒?」

彼女「いや一般」

わたし「すげえ(心からの言葉)」

自衛隊に詳しい方ならわかるだろうけども、幹部になりたいなら防大卒が一番の近道。その対極にあるのが一般。

だからこのお父様は二士から(今もしかして少年工科の三士かもしれん)三尉昇任を経て二佐になったわけ。これは並大抵のことじゃない。

そこら辺を知ってたから思わず「すげえ」と言ってしまったわけで。

そのときちょっと彼女が得意げな顔をしたんですよ。

あと、うれしそうでもあったな。なんせなかなかないからね、一般市民感覚の人たちに囲まれてれば「ニサ?」という感じでしょうから。

いくらかでも彼女の自尊心を高めるのに役立ったのならわたしもうれしい。


自衛隊の誕生―日本の再軍備とアメリカ (中公新書)