GoogleVoice電話番号とアメリカ電話番号取得で沼にはまる(その3)-Google Fi(旧Project Fi)・後編

Googleによると「Google Fi」のために用意された端末は次のとおりである。

※Pixel 3 (Fi and Google store versions)
※Pixel 3 XL (Fi and Google store versions)
※Pixel 2 (North American and rest of world versions)
※Pixel 2 XL (North American and rest of world versions)
Pixel Model G-2PW4100 (North American version)
Pixel XL Model G-2PW2100 (North American version)
LG G7 ThinQ (Unlocked North American versions sold by retailers)
LG V35 ThinQ (Unlocked North American versions sold by retailers)
Moto G6 (Unlocked North American versions sold by retailers)
Android One Moto X4 (North American versions)
Nexus 5X Model LGH790 (North American version)
Nexus 6P Model H1511 (North American version)
Nexus 6 Model XT1103 (North American version)

ご覧の通り「Google系」端末が多くを占めるが、実は、これ以外のiPhoneなども使えるようになってきている。

その他の機種についてはこちら

しかし、その場合は「Google Fi」の機能が一部制限されることに注意が必要である。

例えばアメリカ国内で言えば、接続キャリアが固定されてしまうことなどがあげられる。本来であれば「Google Fi」のサービスでは、今いる場所の一番良い電波につながるはずである。だがそれができない。

というのもどうやら「Google Fi shop」で販売されている端末は、そのほかで販売されているものと少し違うようなのだ。

個人的にその辺が疑問であったのでGoogle Fiのサポートにメールを出して聞いてみた。

「そちらで売っているMoto G6と日本で売っている同型機は同じなんじゃないの?」と。

帰ってきた答えは「No!」である。

中の人が言うには、電波の解析とそれを活用するためのソフトウェアなどが違うのだそうだ。

国を超えてのローミングと言えば、ちょっと前までは考えられないことであった。特に日本では諸外国で普及したGSMが使われていなかったため、海外から日本に出張する人が携帯電話が使えないということ、またその逆も当たり前であった。

日本では使わないが、海外利用も考えてGSMが使える端末が日本で増えてきたことや、3Gのときのような混乱が4Gにはなく、2Gを停波した国において素直に4Gが使われることが見られるようになってきたことも、ローミングしやすくなってきているのではないかと感じられる(もちろん3Gのころからローミングはあった)。

そうは言っても、驚くことに世界ではまだ80%もの人が2Gの携帯端末を使って通話している。ということは2Gを使っている国や地域がまだ多数あるということだ。

2G・3G・4G(LTE)などを横断的に使える端末が作られるようになったのはいつなのだろうか? ただそれが機械的にできたとしても、それぞれの国のための携帯の設定というものが存在する。つまりそのためのデータベースも必要である。

ちょっと話はそれるが、その方向からアプローチしているのはuCloudlinkの提供する技術を使ったMAYA SYSTEMが作った「jetfon」である。

このスマートフォンのSIMは外部とつながっており、行く先々の国のキャリアのSIMの情報を読み込んで使用する。

Google Fi」はそれと違うようだ。公開されている情報などを見るとWi-Fiの電波から位置情報などを読み取り、それをもとに適切な電波を選ぶようである。

さてuCloudlink(jetfonではクラウドSIMと呼んでいるが)と似ているものとして「eSIM」というものがある。eSIMはいわば「仮想SIM」とも呼べるもので、端末に物理的なSIMはない。それは電子的に再現されるので、それを利用している端末はSIMカードを開けたり閉めたりする必要がなくなる。

これは国をまたぐ運用をしたい場合非常に便利だ。アプリ上で情報を入力することによって、あるいはもっと簡単なことにQRコードを読み取ることによってSIM情報を交換することができるようになっている。

このようなeSIMをもっている端末があれば、アメリカの携帯電話会社の前払い式携帯通話プランを、物理SIMなしに導入することが可能である。4大携帯会社はすべてeSIMを使えるようになっている。設定に従い登録すれば理論上はウェブですべて完結し、店舗に出向かずにアメリカの電話番号を入手することができる。

しかしこれにはトラップがあるのだがそれはまた別の機会に……

ちなみに、日本では「一般的なeSIMの使い方」をするキャリアはまだ存在しない。なんでなんでしょうね? とても便利なのに。

ここが混乱するところだが「じゃあGoogle FiってeSIMを利用したサービスなの?」となりがちだが、それは違う。

Google FIにeSIMは必須ではない。あえて言うならGoogle FiとeSIMは直接関係ない。

というのも、Google Fiを利用したいとGoogleに申し出れば、そのための物理的なSIMが送られてくる。そのSIMと端末のソフトウェアを組み合わせて使うものなのである。

ただこんがらがるのだが、Google Fiのための端末として販売されているものの中にPixel 3とPixel3 XL があるのだが、それらの一つのSIMスロットはeSIM用に占有されている。そのeSIMに「Google Fi」のSIM情報を入れて使うことができる。この場合、物理SIMはいらない。

上の一覧の※印があるのがeSIMがある端末である。

Google Fi」のシームレスな環境を「ぎりぎりまで安く」手に入れたいのであれば、Motorola Moto G6がふさわしいだろう。Moto G6のネット上の評判も悪くない。

だがeSIM機能も捨てがたい。わたしとしてはこれを使いたいのだが、価格が高い。iPhoneよりは安いのだが……