GoogleVoice電話番号とアメリカ電話番号取得で沼にはまる(その5)-AT&Tの場合・中編

あきらめが悪いわたしは、引き続きAT&Tとチャットでコンタクトを取りつつも、全く改善しない状況に絶望感を感じ始めていた。

T-Mobileのときも思ったのだが、対応する人物によって言うことが割と変わる。特に「Wi-Fi calling」の内容についてはかなり変わった。

ある人は使えるといっていたり、別の人は使えないといってみたり。

そんな中でとうとう電話サポートで日本語通訳が出現し、より踏み込んだ内容について問い合わせることができた。

今回も最初、チャットでスティーブとやり取りしていたが、途中でテクニカルサポートのスティーブに変わった。どっちもスティーブか。

しかしやはり最後は電話での問い合わせに誘導された。

AT&Tだけではないだろうが、問い合わせによって電話先が違う。わたしの場合通常の携帯回線についての問い合わせからプリペイド回線の担当へ移動。最終的にはわたしが日本に居るということで「インターナショナルカスタマーサービス」が扱うことに。

ティーブによると電話番号は「+1 314 925 6925」。

しかしためらいがあった。前回の問い合わせでは結局日本語で話すことはできなかったからだ。

思わずチャットでスティーブに弱音を吐く。

「多分無理だろう」

間髪入れず、激励の言葉が。

「大丈夫、電話してみてくれ、そうすれば何とかなる」

そうかなあ……

かなり疑問を持ちながら、電話をかける。また「何番を押せ」と言っているが、詳しくわからない。今回も1を押してみる。

ここでコールが流れた。お? 

「ペラペラペラ」

「I can only speak Japanese.
Could I talk to With a person who can speak Japanese」

「ジャパニーズ?」

「イエス

「ホールド」

通じたのか? ここで10分ぐらい待つ。

「もしもし、お客様」

おお、ついに日本語通訳が登場だ。

「はい、聞こえます」

「通訳を担当する〇〇です、よろしくお願いします」

T-Mobileのときとえらく違うな。前は全く回線の一部のような態度で「顔が見えない」状態だった。それはそれで仕事としては成り立つんだろうけどね。

ともかく今回は○○さんとともに問題の解決にあたることになった。ここでスティーブとはお別れ。チャットで礼を言い終了する。

ティーブ「great!」

「SIMはアクティベートができたのだが、それを挿したスマートフォンではアンテナが立たない、どうしてでしょうか?」

「調べてみます」

アクティベーションは成功しています」

うーん…… やはりそうなるか。

「どうしたら、日本で通じるようになるか」

「もう少し詳しく調べたいので、あなたのPINコードを知りたいので教えてくれ」

あー、PINコードね。電話番号とそれを合わせて本人確認とするというやつなのであるが、わたしの記憶ではアクティベートのときそれを決めたり、情報を受けとったりした覚えがない。

今考えると、アクティベートが完了したSIMをさした端末にメッセージが来るんだったよな確か。

だが実際には、当該SIMは繋がっていない。なのでそれをさした端末に何のメッセージも来ない。だからわたしはPINコードを知らないのだ。これがまた後で大きな問題になるのだが……

ここで言っておくが、アクティベートには「日本でSIMが使えるようになっている」ことは必要ではない。日本でつながるとか繋がらないは関係ない。実際わたしがネットで行った登録でアクティベートは完了している。

その後、アクティベートのページは「My AT&T」のページへと遷移するように誘導される。ここで個人情報設定やプランに必要な金額をチャージできる。

ここで「auto Play(自動支払い)」にしていなかっただけ、救いなのだが、だがそれだと当然、せっかく取得した自分の電話番号を維持できず廃止になってしまう。

本人確認が取れないまま、話を進める。

Wi-Fi callingが使えれば、日本でも使えるのではないか?」

ここでちょっとした誤解が。

Wi-Fi callingのサービスが始まるのは今年の3月からです。現在使えるのはアメリカ・カナダ・メキシコだけです」

「そうですか……」

そうなると万事休すだ。

「お客様がアメリカのお店に来ればPINコードがわかり、新たに設定もできる」

仕組みから言っても理屈から言ってもそれが正しいやり方だよね。

「向こうの人が言うには、Wi-Fi callingはもう使えるそうです」

んん? どっちだ? 急に話が変な方向に向いてきた。通訳の人も少し混乱している。

「あちらの言っていることは矛盾しているが、そのまま伝えます」

「Wi-Ficallingは3月にならないと使えないが、日本では使えるはずである」

確かに矛盾している。

どうも、3月からデーターローミングの新しいサービスが始まるらしく、向こうの人はそれと混同してしまったらしい。

「だから、本来であれば日本でWi-Fi callingは使えるそうです」

使えるのか…… 

にしても、こちらのSIMフリー端末ではやはりアンテナはたっていない。

「実はわたしのスマートフォンSIMカードを2枚させるんですが、AT&TのものとT-Mobileを挿しているんですね」

「え?」

通訳のかたが混乱している。

まあそうだよね、あんまりしないもの2枚差し。とにかく話を進める。

「で、T-MobileのほうはWi-Fi callingがつながっているんですよ。だからAT&Tのほうに何か問題があるのではないか」

「え? T-Mobileですか?」

明らかに通訳の人が動揺している。そりゃそうだよね、二つのしかも別の会社のSIMをさしているなんてあまりないだろうし。

とにかく通訳してもらう。

「向こうが言うには、T-Mobileがつながっているのはローミングのせいではないかと言っています」

ううむ、確かにそれもありうる。

「わたしもT-Mobileスマートフォンを持ってるんですけどね」

おお、どうした。通訳が個人的な話をしだしたよ。

「日本に来るとアンテナ立つんですよ」

2対1でわたしが負けてるじゃないですか。

「向こうの言っていることはあり得ますね」

君はどっちの味方だね。まあ技術的な問題に敵も味方もないんですけどね。

しかしこうなると、状況が分からなくなってきた。ただ、言えることはこの電話の参加者3人ではもうできることはないということだ。

「最後に一つ質問よろしいですか、My AT&Tのパスワードを忘れてしまったのですが、どうしたらいいでしょうか?」

「本来であれば、当該SIMをさしている端末にメッセージで新しいパスワードを送ることができるんですが、今あなたのところではそれがつながっていないということなので、新しいパスワードを送ることはできません」

何もかもが駄目である。

「わかりました、質問を終わります」

「何かほかに助けられることはないかと言っています」

「ありません」

「ありがとうございました」

通話終了。全体で2時間ほどかかっただろうか。

何の解決策も得られませんでした。というより、これまで費やしたAT&T関連の時間とお金と労力が無駄であったことがはっきりとしてしまった。

SIMカード7千円(購入代行)、アクティベートと月額基本料で3000円。

今考えれば、SIMの交換を申し出てもよかったかもしれないな。

あと、わたしの新端末として「Umidigi Z2」をWi-Ficalling実験機として導入して、それに2枚差ししているんだけど、確かにWi-Fiを切ったら3GでT-Mobileにアンテナが立った。一瞬、AT&Tの人の言うことが正しいようにも思われたのだが、少しの誤解があった。

Umidigi Z2はdocomoの使用バンドにも対応しており、その意味では純粋なAT&Tの端末とは状況が違う。本来のAT&Tの端末はdocomoのバンドに対応しておらず、その状況ではアンテナが立たない。しかしUmidigi Z2ではローミングとしてdocomoのものを使うのでAT&TのSIMを使ってもアンテナは立つ。

もう一つ言えば、純粋なT-Mobile端末に同社SIMを指せば、Wi-Ficallingのアイコンが出るので、決してローミングでつながっているわけではないことは明らかだ。

電話のときはそこまで頭が回らなかった。

しかしそうなるとできることは限られてくる。この繋がらないSIMをもってアメリカに行く。それかAT&Tの端末にSIMをさしてとにかくメッセージを受信できるかどうかを試すか。

AT&TのSIMには謎が多い。新しい端末に対応していないとか、androidiOSでは違うSIMを使うとか、ポストペイドとプリペイドのは違うとか、もう情報過多である。T-Mobileだとスターターキット一枚なのに。

考えてみるとわたしの場合、ローエンドプリペイドスマートフォンに刺してあったSIMを、SIMフリー端末に付け替えたのでその意味でも適合しないのかもしれない。

いずれにせよそのどちらかしかない。

まったく面倒なことになってしまった。

まあでも全部自分が悪いんですけどね。