似てるけど同じなの?「Wi-Fi calling」と「VoWiFi」
最近、新しいスマートフォンで「そうなの?」と思ってしまう表示が出ている。
Wi-Fiアンテナアイコンの隣の隣を見ていただきたい。「VoWiFi」とある。
なんですかねこれは。まさか「Wi-Fi calling」のことを表しているわけではないでしょうね。
まずは「Wi-Fi calling」からおさらいしましょうか。
Wi-Fi Callingでは、インターネット経由で事業者のサーバーに接続し、携帯電話のSIMカードの情報を用いて認証を実施した後、インターネット経由で事業者の網に繋いで通話を行なう。
携帯電話がWi-Fiとそれに繋がれたインターネットを経由して通信事業者の交換機等に接続できるようにする。それが「Wi-Fi calling」である。
では「VoWiFi」とは何か。
ここからまるでマトリョーシカのようになってしまうがご了承いただきたい。上記の説明を見るとらさらに「VoIP」についての情報が必要であることがわかる。
VoIPとは、Voice over Internet Protocolの略で、音声をデジタル化し、TCP/IPネットワークによって送受信する技術のこと。インターネット(IP)電話などに使用されている。
まとめると「無線LANを利用した音声通話をデータ通信として提供する技術」となる。ここで意味がよくわからないのが、無線LANを一体どこで用いているのかということである。
携帯電話と無線LAN親機を無線LANで(くどい)結びつけているのは分かる。ではその先についてはどうなのか? 無線LAN親機とさらに別の無線LAN親機を結ぶのにも無線LANを使うのか? (距離的に無理であるが)その無線LAN親機の電波を無線LANでコアネットワークにつなぐのか?
ネットで調べてもこのVoWiFiは正確な定義が見当たらない。はっきり言えば携帯製造会社においては「Wi-Fi calling」という呼び名で統一されており、VoWiFiなんていう言葉はどこも正式に採用していない。
Make a call with Wi-Fi Calling - Apple Support
中にはVoLTEと関連付けている記事もあるが、これとVoWiFiも直接の関係はない。
3G携帯電話の時代に、電話網と別に、通信網として作られたのがLTEである。VoLTEは、このLTEを使って電話をするための技術となる。
端的に言えば「VoLTE」はLTEを使用した通話通信技術であり、「VoWiFi」はWi-Fiを使うインターネット電話のことである。
確かに、どちらも「音声をパケット通信にしているという点」では違いはない。そしてLTEになり、より大量のパケットを流せるようになったという意味では「それじゃIP電話として使っても音質が悪くなったりしないね」という考えのもと、「VoLTEとして通信ができるのであればVoIPも認めましょう」とキャリアが考えるようになり「VoLTE→VoIPのスイッチオン」という流れになるのというのは理解できる。
しかしやはりだからといってVoLTE=VoIPとはならない。考えても見てほしい。LTEになるまでIP電話って存在していなかったのか。そうではない。SkypeやGoogleVoiceなどはその前から存在していたのである。
繰り返すが「Wi-Fi calling」の肝は、携帯端末の通話(音声通信)がWi-Fiを電波を経由して通信事業者のコアネットワークにつながり、相手の電話につながることである。
コアネットワークとは、その名の通り、情報通信網の中核にあたる部分を示す言葉です。「基幹通信網」「バックボーン」と呼ばれることもあります。
決してWi-Fiに乗せた音声通信をパケット化することではない。だから「VoWiFi」などというわけのわからない表記はやめることだ。それでは意味というかニュアンスが伝わらない。
しかし、これについてはあっけなく答えが出たのだ……