世界を駆ける!! 密造銃

ナショジオの番組なんですけどね、やばい世界を扱ってる物があるんですよ。

その中の一つに「密造銃」がありまして、これがまた深いんだ……

これから書くことは番組のネタバレなので、まだ見ていないで興味がある方は見ないでください。

さて、だれが密造銃を必要としているのか? そこから番組は始まる。

買い手は「アメリカの犯罪者」である。

はて? アメリカでは合法的に銃を手に入れることはできなかったっけ?

そう考えたあなたは「甘い!」。アメリカといえど、犯罪歴などがある人は銃を買うことができない。

だからどうしても必要な人は「闇のマーケット」で流れている銃を手に入れる。

ただしこのような銃はすでに犯罪などに使用されているため、つぎに射撃するとすぐ足がつくらしい。

犯罪に使われれば使われるほど、バレやすいので安くなる。この安くなるという点は後で関係してくるので覚えておくように。

このようなわけで犯罪者は「前歴のない」銃を欲しがる。ここに密造銃の需要が出てくるわけだ。

新しく作ってしまえばそれには犯罪歴がないわけだから、これからの犯罪者はためらいがなくその銃を新しい犯罪に利用できる。

という理屈なのだが、そもそも銃を犯罪で使いたいという時点でおかしいのに、なんで犯罪歴のある銃にそれほど気を使うのか?

では、その密造銃はどこで作られているのか? フィリピンである。

フィリピンでは正規の銃の売上が減っているため、銃の製造技術がある人は生活費を稼ぐため、密造銃を作りそれを売っている。

これは違法なことらしく、番組に出てくるフィリピンの密造銃製造者は街から離れたジャングルの狭い小屋の中で作業している。原料はくず鉄。ココらへんで耐久性に疑問が出てくる。

作る密造銃はコルトM1911の模造品である。

本物のコルトM1911を参考にして、それをコピーする。

しかしグリップとかバネとか引金とかなら簡単に作れそうだが、スライドはどうやって作ってるんだろうか? 大型の工作機械などは見当たらないが。それだけは外注なのだろうか?

とにかく家庭内作業でコルトM1911の模造品を作り、射撃テストをしたあとそれをバイヤーに売る。

ジャングルで作られたコルトM1911の模造品は通常の鉄から作ってそのままバイヤーの手に渡るらしく、しばらくすると錆びてくる。それでバイヤーが表面加工して耐久性を出す。さらに本物に似せるため刻印とシリアルナンバーをつける。

ここまでくるともはや本物かどうかは問題ではないような気もしてくるが、やはり「コルト社の45口径」と言うのは箔が付くのだろう。

警戒が甘い海路でこの模造銃ははアメリカに入る。

ここで別のバイヤーが銃を受け取り、闇のマーケットで銃を売りさばく。

買い手の一人はヤクの密売人。

「これでヤクを手に入れるのさ!!」

ここで視聴者は「あぁ…… この銃をまた売ってカネを手に入れるんだな」

と思うのだが、斜め上の展開に。

ヤクの密売人は、さらに別のヤクの売人から「この銃を使って」ヤクを強奪してくるのだ。

頭が痛くなってくる。ここから警察側に内容がシフトする。州警察やATFが不正な銃を取り締まっている様子が流れるがそれは別にどうでも良い。

イカれたヤクの売人が使った銃は、その特徴が警察に知られてしまい使われにくくなる。これは先程書いたとおり。

ではこの銃をどうするか。また別のバイヤーが安く買い、これをアメリカ国外に売るのだ。

その先の一つがグアテマラ

グアテマラではこの銃は犯罪歴がないので高く売れる。

最近グアテマラでは麻薬カルテル絡みの抗争が激化、そのため銃の需要が高まっている。

グアテマラ当局も不正な銃の流入を止めようとして国境付近で検問をしているが、様々な抜け道があって功を奏していない。

このようにして密造銃はフィリピン、アメリカ、グアテマラ、と流れる。

ここで一人の少年が登場してくる。彼はグアテマラの麻薬カルテルに雇われた(というか使われている)殺し屋である。

ただし持っている銃は9mm拳銃。おそらくSIGザウエルP220。この番組に出てきた45口径の中ではない。

どう結びつくかと思ったら、少年こう言う。

「9mm拳銃じゃ威力が弱いから45口径の銃をくれるように上に頼みたいんだ」

そうきたか……

少年は殺し屋はもうやめたいらしいが、抜けられないらしい。いずれはコルトM1911の模造品を手にする日が来るのかもしれない。