あまりにもひどい仕打ち「NHKスペシャル 引き裂かれた歳月 ~証言記録 シベリア抑留~」
NHKスペシャル 引き裂かれた歳月 ?証言記録 シベリア抑留? [DVD]
- 作者: ドキュメンタリー
- 出版社/メーカー: NHKエンタープライズ
- 発売日: 2011/07/22
- メディア: DVD
- クリック: 5回
- この商品を含むブログ (1件) を見る
まあ、DVD買わなくても下のリンクから見れるんですけどね。
それにしてもあまりにも不憫すぎる。シベリアに抑留された人たちがどんな悪いことをしたというのか。なにも悪いことをしていないのに…… 怒りすら感じる。
なぜシベリア抑留ということが行われたのか。
それは対ドイツ戦で、領土が荒廃したソ連の思惑が絡んでいた。
すでに冷戦が始まりアメリカとの競争が始まっていたが、ソ連本土には国を立て直すだけの労働力がなかった。多くの国民が戦死したからだ。
そこでスターリンは旧満州国にいた日本人に目をつけた。スターリンは日ソ中立条約を一方的に破棄し、ソ連軍は満州にいた旧日本軍の兵士らを捕虜にした。
彼らをシベリアに送り込み、森林伐採、鉱物採掘、鉄道の敷設などの作業に当たらせることにした。
彼らに与えられるのは小さな黒パンと水のようなスープだけ。実に安価な労働力である。
シベリアの気温は氷点下30度以下になる。抑留者たちはそれを生き延びなければならなかった。
実はこの行為、ポツダム宣言にも違反していた。「敗戦国の兵士はすみやかに帰国させなければならない」とあったからだ。
しかしソ連はさらに別の意義にも目をつけた。
抑留者たちに赤化教育をし、彼らが帰国した日本で共産主義者を増やそうとしたのだ。
これにより、抑留者同志で分裂が起こる。
反赤化の人間を炙り出すため、抑留者内部にソ連への情報提供者が創りだされた。彼らはソ連側に自分の同胞たちを売った。
ただ、そうしなければならなかった理由があることにも注意が必要だ。
ソ連側は「自分に協力すれば帰国させる、しなければ帰国させない」という態度をとったため、やむなくソ連に協力せざるを得なかったのだ。
やっと帰国したと思ったら、周りの日本人からは「お前はアカだろう」と言われて、相手にされないという悲劇もおこった。
仕事をしたくても、職にありつけない。怪しげな組織から「スパイになってある組織に潜り込め、そうすれば仕事を与える」と持ちかけられた人もいる。
本来であれば、このような悲惨な事実は戦後早い時期に大々的に明らかにされてもよかった。そうなればシベリアからの引揚者たちの名誉も回復されたはずだ。
ところがそうならなかった。
今となっては想像することしかできないが、戦後の日本には、ソ連からの大きな影響力があり「ソ連を悪く見るような情報」はひかえるよう、圧力がかかったのだろう。
報道機関もそうであろうし、外務省もそうであろう。
全くひどい話である。
彼ら抑留者たちへの補助金が決まったのは、戦後65年が経った2010年であった。