山岳遭難防止に、旅客機の緊急時チェックリストを活用できないか
山岳遭難を調べれば調べるほど「沢に降りる」という行為が、呪いのように繰り返されていることに気づく。
山岳遭難を避けるための鉄則「沢には下りるな」がなぜこれほど実行されないのだろうか?
おそらくこれは人間心理的にかなり避けがたいことなのだろう。
となると、単純に「頭の中に入れておくだけの知識」は役に立たないということになる。
ここでわたしは航空事故防止の方法をこれに活用できないだろうかと考えた。
パイロットの皆さんは「空に上がれば3割頭」という言葉をおそらくご存じだろう。
これは訓練生が思い知ることなのだが、地上でいくらイメージトレーニングをしていても、離陸してしまうと思いのほか実行しなければならないことや確認しなければならないことがあり、頭が3割ぐらいしか働かなくなるのだ。
しかも飛行機は高速で移動している、考えている間に止まってはくれないのでますます急いで考えなければならなくなりパニックになる。緊急事態ともなればなおさらである。
こんなとき役立つのが、チェックリストである。
問題に対処しなければならないときに、忘れてはいけないことが記述してあり、それを終わらなければたとえ着陸したとしても(よほどの緊急時は除く)リストは完了しなければならない。それほど大切なことが書かれているのだ。
山岳遭難時も、このようなチェックリストを用意しておき、必ず実行すれば事故はかなり減るだろう。