「プリンセスナイン 如月女子高野球部」クールが足りない

去年DVD出とったんですね。パッケージだけ見るとキワモノ臭漂ってますが、意外や意外正統派スポーツ根性物。

感想としては、なんかこう「もったいない」という気持ちがこみ上げてくる作品である。

これはおそらく製作者の問題ではなくスポンサーサイドの問題であろう。

これは作品が面白く無いということではない。話数が足りないのだ。

話の流れを見てみると……

1クール目は、部員集めのカタルシスと最初の練習試合。このクールは非常にテンポよく納得できる内容であった。さらにここで話が終わってもよかった作りになっている。さかんに最後に「私達の戦いはこれからだ」と言っていることからも分かる。打ち切りになりそうになるときよく聞かれるセリフだ。

おそらく製作者側としては1クールの中ほどであまりよい感触がなかったのだろう。だから1クールで終わっても良いような作り方をした。

しかし以外にも反響があって、2クール目まで行けることになった。

野球アニメ(タッチやメジャー)の傾向からするとロングクールになることが想定され、製作者としてもそれを目指しただろう。

長くなるということは作品が高く評価されたことであるし、スポンサーとしてもそれは望むところだ。

だが1クールの終りが近いころ、先があまり長くないような雰囲気になったのだろう。しかし人気が出るか出ないかは誰にもわからなかった。

だから2クール目はストーリーが混迷した。

いずれは主人公の恋愛と野球部の甲子園行きについての決着を着けなければならなかったが、そのどちらに主眼を置くか、それとも平行して話をすすめるか、決められなかった。

そうなるとどうなるか。

どちらの話にも属さない謎のストーリーが生まれる。ただこの部分をただの総集編にしなかったのは高く評価したい。ちょっときつい言い方だが、扱わなくても良いキャラクターに光を当てた貴重な部分であるといえるだろう。わたしとしては荒波スイングにも注目したかった。

さて話を戻す。結局本作は2クールで終了することになった。

そこがはっきりしたのはおそらく24話からだろう。恋に野球にと急に話が展開しだした。

わたしとしてはこれが非常にもったいないと感じた。

ナインのキャラも立ってて興味深かったし、女子高生野球部の存続と甲子園出場をかけての戦いというのもはっきり言って面白かった。

目の肥えた野球ファンならいざしらず、普通の視聴者層として見た場合、試合の様子は良かったと思う。

主人公の投げるシーンは格好良かったし、その主人公の投手力に頼りきることなく相手チームに対抗できる打者がいるのもバランスがいい。

だからできればもう2クール続けて「恋と野球」をじっくりと描いて欲しかった。あの望月監督だったらそれができたはずだ。

実際、主人公の恋と野球部の未来についての決着を見せた最後の26話は、よくあれだけまとめたなと感心させられた(多少の強引さはあるものの)。

もう20年近く前の事にもなるので、それこそ今更あれこれ言ってもしょうがないがやはり最初の構想がもしあったのなら、今でもそれを見てみたいと思っている。

ただ、夏目誠四郎くんには幸せになってほしい。

あ、2期という可能性もあるかもしれんと考えたが、主人公の高校入学が「平成10年度」とはっきりと出ちゃってるから、現在と整合性が取れないか。残念。でもデジラルミマスター版が出るくらいだから人気はあるんだよなぁ多分。

NHK-BSだからスポンサーなかったよ。